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リカレント教育とは?文部科学省の支援制度やリカレント教育プログラムを提供する大学一覧などを紹介


ワークエンゲージメントの意味とは?尺度や測定方法・ワークエンゲージメントを高める方法などについて解説

文部科学省が支援制度を導入し、多くの大学でプログラムが提供されているリカレント教育。


よく耳にする言葉ですが、「そもそもリカレント教育とは何?」「生涯教育やリスキリングとどこが違うの?」と疑問に思われている方も多いかもしれません。


本記事では、リカレント教育とは何か、日本で注目されている背景やリカレント教育のメリットなどを解説します。


リカレント教育プログラムを提供する大学や無料で利用できる講座、リカレント教育の企業での導入事例などについても紹介しますので参考にしてください。


 

【 目 次 】



 

リカレント教育とは?基本の意味と目的


リカレントという言葉を最近よく耳にしますが、そもそもリカレント教育とはどのような意味で、どのような目的があるのでしょうか。


まずは、リカレント教育の基本的な意味や類似の言葉との違いなどを確認しておきましょう。


リカレント教育の意味


リカレント教育とは、社会人が職業生活のなかで必要な知識やスキルを学び直すことを指します。リカレントは英語で「recurrent」と表し、もともとは「循環する」「繰り返す」という意味です。このことから、学校での学習と職業生活を交互に繰り返すという意味で「リカレント教育」という言葉が使われるようになりました。


リカレント教育の概念は1960年代にスウェーデンで提唱され、その後OECDによって世界中に広められました。日本では80年代に入ってから、首相直属の諮問機関として臨時教育審議会が設置され、内閣府を中心となって「再チャレンジ支援総合プラン」や「人づくり革命」といったリカレント教育推進プログラムを強化しています。※


リカレント教育は、キャリア形成の手段としてだけでなく、変化の激しい現代社会において、職業スキルを維持・向上させるための重要な仕組みです。具体例としては、新たな技術を学ぶための専門学校通学や、資格取得を目指すための大学院進学などが挙げられます。


※参考:教育経済学研究/1 巻 (2022)『リカレント教育の歴史的変遷及び日本経済に与える影響についてー高等教育機関を中心にー』https://www.jstage.jst.go.jp/article/roee/1/0/1_50/_pdf/-char/ja


生涯学習との違い

リカレント教育と生涯学習は、どちらも学びを継続することを目的としていますが、その目的や対象分野には違いがあります。


リカレント教育の目的は、主に仕事に関連したスキルや知識を習得し、キャリアの発展や職業上の課題解決にあります。一方、生涯学習は、趣味や地域活動、文化の理解など、生活全般の充実を目的としているのが特徴です。


たとえば、リカレント教育ではデジタルスキルやマーケティングスキルの取得が重視される一方、生涯学習では書道やヨガなど、自己実現や健康増進を目的とした活動が主流です。つまり、リカレント教育は仕事に直結する学び、生涯学習は生活を豊かにする学びと位置づけられます。


リスキリングとの違い


リカレント教育とともに、リスキリングという言葉もよく耳にしますが、両者の違いはどのようなところにあるのでしょうか。


リカレント教育は、社会人になってからも必要に応じて教育を何度でも繰り返して受けることです。一方、リスキリングは英語で「re-skilling」と表現するとおり、職業的な価値を高めるための実践的なスキル習得に重点を置いています。


リスキリングとは何かについては、以下の記事に詳しく解説していますので参考にしてください。

リスキリングとは?なぜ必要?リスキリングで何を学ぶか、必要なスキルなどを解説


リカレント教育が注目される背景とメリット


近年、デジタル技術の進化や社会構造の変化が加速するなかで、スキルや知識のアップデートが求められる場面が増えています。働きながら学び直すリカレント教育は、働く人々や企業の未来を切り拓くために欠かせない取り組みとなりつつあるのです。


ここでは、リカレント教育が注目される理由と、それがもたらすメリットについて解説します。


いまリカレント教育が日本で注目されている理由


リカレント教育が注目されている背景には、社会の急速な変化とそれに伴うスキルの需要の変化があります。


デジタル技術の進化やグローバル化により、従来の知識やスキルでは対応しきれない状況が生じているのです。また、終身雇用の崩壊や雇用形態の多様化により、働き手が自分自身の市場価値を高める必要性も高まっていることも、リカレント教育が注目されている理由のひとつとして挙げられるでしょう。


文部科学省の資料によると、仕事関連の成人学習参加率が高い国ほど、時間当たりの労働生産性が高い傾向にありますが、日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟38カ国中 30 位、先進国で最下位となっています。日本企業のOJT以外の人材投資や個人で社外学習・自己啓発を行っている人の割合は諸外国と比較しても低く、社会人になってからの学び直しやリスキリングが不十分であることが問題視されているのです。※


このようななか、日本でも働きながら新しいスキルや知識を学び直し、キャリアの再構築を可能にするリカレント教育が注目されています。


※参考:文部科学省『職業実践力育成プログラム及びキャリア形成促進プログラム

実施機関向けリカレント教育説明会』


リカレント教育で個人が得られるメリットとは


リカレント教育を受けることは、個人にも大きなメリットがあります。


1つ目のメリットは、キャリアアップの機会が増えることです。新しいスキルを身につけることで、より専門性の高い仕事や高収入の職に就く可能性が高まります。


2つ目のメリットは、長期的な雇用の安定性が向上する点です。リカレント教育によりスキルの陳腐化を防ぎ、常に市場価値を保てるでしょう。


3つ目のメリットとしては、自己実現や生涯学習の一環として、知識を深めることで人生の満足度を高められる点が挙げられます。ワークライフバランスや人生100年時代の長いセカンドライフを充実させるために、生涯学習やリカレント教育を求める人が増えています。


リカレント教育での企業側のメリットとは


リカレント教育の普及は、個人だけでなく企業にも多くのメリットをもたらします。リカレント教育により従業員がスキルを向上させれば、企業の生産性が高まるからです。最新の知識や技術を学んだ従業員がイノベーションや効率化を推進することで、企業全体の競争力が強化されるでしょう。


また、企業が積極的にリカレント教育を支援することで、従業員のモチベーションが向上し、離職率の低下にもつながることも期待できます。


さらに、リカレント教育を導入する企業は、従業員や地域社会に貢献しているとみなされ、企業ブランドの向上が期待できることもメリットです。


このように、リカレント教育の推進は企業価値を上げることにつながるため、最近では大企業からスタートアップまでさまざまな企業が、独自のリカレント教育推進制度を導入しています。


リカレント教育プログラムを提供する大学や支援制度


文部科学省などの推進もあり、近年では多くの大学や大学院がリカレント教育プログラムを提供しています。


ここでは、リカレント教育におすすめの大学一覧や文部科学省の支援制度などについて紹介します。


リカレント教育におすすめの大学一覧


学び直しにおすすめな国内の大学・大学院を紹介します。


京都大学


京都大学では、全学学部・研究科などでリカレント教育プログラムを提供しています。特に、社会人の学び直しに最適な以下のようなプログラムが特徴です。


社会人向けデータサイエンス講座

イノベーション・起業家教育

次世代農業マイスター育成プログラム

アジアビジネスリーダー育成プロジェクト

実践的医療経営プロフェッショナル教育事業


このほか、各学部・研究科で科目等履修生と聴講生制度を設け、「京大知の森」や「京都大学-稲盛財団合同京都賞シンポジウム」(KUIP)などさまざまな公開講座も開設しています。


※参考:京都大学|リカレント教育(生涯教育等)


東京大学


東京大学も社会人向けのリカレント教育に力を入れています。


東京大学リカレント教育講座ポータルサイトの設置

東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム

東京大学エクステンション株式会社

グレーター東大塾


「東京大学リカレント教育講座ポータルサイト」というリカレント教育専門のポータルサイトでは、リカレント講座のほか、一般教養や学位プログラムまで150を超える講座を検索可能です。


また、産学連携の一環として、企業や組織のマネジメントを対象とした少数精鋭向けの「東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム」を提供しています。



ほかにも、東京大学100%出資でデータサイエンスなどの講座を提供する「東京大学エクステンション株式会社」や企業と連携して先端・専門性の高い現代社会的テーマを取り上げる生涯学習プログラム「グレーター東大塾」など、独自性の高いリカレント教育推進事業を展開しているのが特徴です。


※東京大学|社会連携


東北大学


東北大学は、2021年から企業の若手エンジニアの育成を目的として「材料科学リカレントセミナー」を立ち上げました。国内最大規模の材料系研究グループを有する同大学のエキスパートが中心となりオンデマンド配信による動画講座を提供し、3年間で200名を超えるエンジニアが受講しています。


また、「東北大学オープンアカデミー」では、クロスセクター(行政・企業・NPO・教育機関などの多様な主体)との協働によるイノベーションや新たな社会価値の創造につとめ、一般市民や社会人の学び直しの機会を提供しているのが特徴です。


※参考:PR TIMES| 東北大学ナレッジキャスト株式会社のプレスリリース


東北大学オープンアカデミー


早稲田大学


早稲田大学は1882年の創立後まもなく「早稲田大学講義録」を発行し、校外生制度(通信教育)を発足するなど、社会人教育を重視している大学です。


入学センターでは、正規課程を広く社会人にも募集するほか、「早稲田大学まなびのコンパス」という専門ポータルサイトで、ノンディグリーのリカレント教育プログラムの情報を提供しています。早稲田大学のノンディグリープログラムは、下は最低年齢8歳から上は最高年齢96歳まで、年間延べ53,000人が受講する日本最大級の生涯学習プログラムです。


エクステンション・センターでは、早稲田校・中野校のキャンパスにくわえ、オンラインでさまざまな公開講座を実施しています。


また、主にビジネスパーソン向けの学びと交流の場として「WASEDA NEO」を2017年に開設し、最先端のビジネストピックを扱ったセミナーや、ビジネススキル習得を目的とした各種プログラムを提供しています。


※参考:早稲田大学 まなびのコンパス|早稲田の生涯教育


[公開講座] 早稲田大学エクステンションセンター


WASEDA NEO 早稲田大学日本橋キャンパス


上智大学


上智大学は、社会人が学び続けるためのさまざまな”場”を提供する生涯学習プログラムを実施しています。


プロフェッショナル・スタディーズでは、実業界と本学が一体となって産学協働で学びの場を提供。「教養講座」「スペシャリスト養成講座」「スペシャルトーク」の3本を軸に、従来とは全く異なるかたちの産学連携プロジェクトを展開しています。


また、神学や社会福祉などの分野の教育にも力を入れているのが上智大学の大きな特色です。

具体的には、宗教科教員免許状取得希望者を対象とする「神学講座」、医療、保健、社会福祉、介護、教育、宗教活動、その他さまざまな臨床の現場において、グリーフケアを提供できる人材を養成するための「グリーフケア人材育成講座」など、独自性のある生涯学習プログラムを提供しています。


※参考:上智大学 |生涯学習


東京理科大学


東京理科大学では、2018年から社会人教育センターのもと、実務的で社会人として有用な知識や技術を習得できる「東京理科大学オープンカレッジ」を開設しています。


年間講座数は500以上、年間受講者数約6,000名と、日本の大学がおこなうビジネス講座数としては最大規模のオープンカレッジです。約60社の企業が利用し、大学以外の講師の割合は8割と、実効的な産学提携を実現した実務的かつ有益な学習プログラムになっています。


東京・飯田橋のオープンカレッジ会場を中心とした受講方法にくわえ、Zoomを使用したリアルタイム配信やオンラインと会場型のどちらも選択できるハイブリッド方式など、受講形式のバラエティが豊富なのも魅力です。


※参考:東京理科大学オープンカレッジ


日本女子大学


日本女子大学は、2007年日本の大学で初めてリカレント専門の教育プログラムを設置したことで知られています。


働く女性のキャリアアップや再就職を支援する以下の3つのコースが開設されています。

キャリアアップコース

ライフロングキャリアコース

DX人材育成コース


キャリアアップコースは、ITリテラシーから会計や労働法の基礎、ビジネス英語やコミュニケーションまで幅広いスキルを身につけ、女性の再就職とキャリアアップを支援するコースです。


ライフロングキャリアコースは、さらにブラッシュアップしたビジネススキルと、ライフロングキャリアデザインやメンタルヘルスといった項目を追加し、現在就労中の女性がスキルアップし活躍することを目指した内容になっています。


DX人材育成コースは、あらゆる業界・職種・役職にいる女性を対象に、情報セキュリティ、プログラミング、ファシリテーションなどDX推進を中心としたスキルを学習できるのが特徴です。


※参考:日本女子大学リカレント教育課程


小樽商科大学


小樽商科大学では、社会人の学び直しのために多種多様なプログラムを提供しています。


働きながら学ぶ人のための総合的な学習プログラム「夜間主コース」や、MBA取得が可能な「アントレプレナーシップ専攻」といった正課教育とは別に、地域や受講者、企業のさまざまなニーズに対応した実践的・専門的な社会人の学び直しプログラムがあるのが特徴です。


産学官連携型では、地域経済や雇用創出において大きな役割を担う観光産業を活性化する経営人材育成講座を開設。地域医療やヘルスケアなどのイノベーション創出を牽引できる人材の育成を目的とした「地域医療マネジメントセミナー」を実施しています。


さらに、ニセコ町商工会と連携した「ニセコビジネススクール」や帯広畜産大学と連携した「清水町アグリビジネススクール」など、個別の地域団体や企業のニーズに合わせた研修プログラムを提供しているのも小樽商科大学の社会人学び直し事業の特色です。


※参考:国立大学法人 北海道国立大学機構 小樽商科大学|社会人の学び直し


関西学院大学


関西学院大学は種類豊富な生涯学習プログラムを提供しているのが特色です。


エクステンションプログラムでは、公務員、IT・情報系、簿記・会計系、金融系、法律系などの分野において、「ライフデザイン」のなかで資格や知識の取得の必要性を感じた人が誰でも利用できるような講座が開講されています。


社会人の女性向けには、女性活躍推進のための学び直しプログラム「ハッピーキャリアプログラム」があります。ハッピーキャリアプログラムは、文部科学省の職業実践力養成プログラムや厚生労働省の教育訓練給付金事業にも認定されており、「キャリアアップ・起業コース」と「女性リーダー育成コース」の2つのコースを選択可能です。


また、通常の科目聴講とは異なり、興味をもった領域に関する授業科目を学部横断的に受講できる「関西学院大学リベラルアーツ・プログラム(KGLP)」も、社会人の学び直しや生涯学習に適したプログラムといえるでしょう。


※参考:関西学院大学 総合政策学部・総合政策研究科|生涯学習プログラム


北九州市立大学・九州工業大学・熊本大学・宮崎大学・広島市立大学


文部科学省は、2017年に情報技術人材の育成拠点の形成を目的としたリカレント教育事業「enPiT-everi(エンピットエブリ)」を開始しました。本プログラムの公募で選定されたのが、北九州市立大学・九州工業大学・熊本大学・宮崎大学・広島市立大学の5大学です。


「enPiT-everi(エンピットエブリ)」では、5つの大学が中心となり、九州・中国地域の社会人を対象に、人工知能やロボット技術などの新しい技術を身に付ける実践的な教育プログラムを提供しています。


プログラムの目的は、各産業(製造業、自動車産業、介護業、農林畜産業、観光業)に特化した教育テーマを設定し、IoT、AI、ロボットなどの企業への 導入を推進できる人材を育成することです。コース受講を完了すると「IoTアーキテクト」、「IoTエンジニア」の2種類が修了認定されます。


※参考:enPiT-everi(エンピットエブリ)|事業紹介


文部科学省の支援策


文部科学省は令和4年度補正予算において「成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業」を採択しました。

本プログラムは、デジタル・グリーンなどの成長分野に関する能力を身につけた即戦力人材を社会に輩出するため、大学・高等専門学校などに対し、産業界や社会のニーズを満たすリカレント教育プログラム開発・実施を支援するものです。※


具体的には、全国の国公私立大学や短大、高専を対象に、社会人のキャリアアップにつなげられるようなプログラムを公募し、全国22都道府県で63のプログラムを採択。社会的関心の高いDX(AI・IoT)や医療・介護、地方創生、女性活躍を中心に、基礎的なものから応用的なものまで幅広いリカレントプログラムが用意されています。


【文部科学省リカレント教育推進事業の一例】


分野

大学

プログラム名称

DX

北海道大学

社会インフラ分野向けDXリカレント教育プログラム

看護・介護

東京大学

看護職・介護職向けEnd-of-lifeケア(看取り)リスキルプログラム

中小企業活性

早稲田大学

中小企業におけるコトづくりDX人材育成・活用のためのリカレントプログラム

中村学園大学

食MBAリカレント教育プログラム

地方創生

下関市立大学

しものせき地域DX人材育成リスキリングプログラム

女性活躍

筑波大学

ライフキャリアの構築を目指す女性のための心理学プログラム -生涯発達的視

点からのキャリア自律と他者支援への展開―

一部のプログラムでは、厚生労働省の職業訓練受講給付金を受給しながら学習することが可能です。


「成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業」以外でも、社会人や企業のニーズに応じた実践的・専門的なリカレントプログラムについては「職業実践力育成プログラム(BP)」として、文部科学省が認定を行っており、厚生労働省の教育訓練給付金の対象となっているものがあります。


※参考:文部科学省|成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業

https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/manabinaoshi/mext_00005.html


リカレント教育に役立つ無料の講座


大学や専門学校に通う以外にも、リカレント教育に役立つ講座を無料で受講する方法があります。


たとえば、UTokyo OpenCourseWareやJMOOCなどのサイトでは、大学が提供する質の高い講座動画を無料で視聴可能です。※


文部科学省は、丸善雄松堂株式会社に委託し社会人の学びを応援するためのポータルサイト「マナパス」を開設しています。マナパスでは、分野や資格・給付金の有無や開講時間など、自分の希望に沿った条件で全国の講座内容が検索可能なほか、リカレント教育や社会人の学び直しについてのさまざまな情報が掲載されています。特集ページには、受講費無料の講座特集などもありますので、興味がある人は調べてみるとよいでしょう。※※


※参考:

・UTokyo OpenCourseWare

https://ocw.u-tokyo.ac.jp/

・JMOOC

https://www.jmooc.jp/


※※参考:社会人の大学等での学びを応援するサイト| マナパス


リカレント教育の企業での導入事例




リカレント教育は、個人だけでなく企業にとっても多くのメリットがあるため、最近では多くの企業がリカレント教育を推進しています。


企業の研修や人材育成制度自体にリカレント教育のプログラムを導入するところや、個人の自己啓発などリカレント教育を支援する制度を充実させるところなど、その取り組みはさまざまです。


ここでは、リカレント教育の企業での導入事例を紹介します。※


※参考:大学発ベンチャーデータベース(METI/経済産業省)『イノベーション創出のための

リカレント教育事例集 企業編』


事例1 SCSK株式会社


SCSK株式会社は、東証プライムに上場するITシステムの開発・サポート会社です。IT人材の獲得競争が激化するなかで人材育成・キャリア開発をさらに強化するため、以下のようなリカレくント教育支援制度を導入しています。


  • 業務時間外の自己研鑽活動の申請により、図書カード支給や抽選で学ぶ機会(教育コンテンツ)を提供

  • 資格取得に応じた報奨金や全社員への5,000円/月の学び手当の支給

  • 自律的IT人材を育成するための技術者交流の場を提供

  • 継続的な学びと成長の機会を提供する人材育成体系として、5カテゴリ200種類以上の研修プログラム「SCSK i-University」を設定


中期経営計画において人財投資を基本戦略のひとつとして掲げ、ラーニング・カルチャー醸成の工夫や事業戦略の実現に必要なリスキリング強化などを実施しています。


事例2 三協立山株式会社


三協立山株式会社はアルミニウム金属加工品の開発・製造を行う、従業員約10,000名(連結)の会社です。「地元に働き良い職場を作りたい」という創業時の基本理念に忠実に、社員の自己研鑽や地域社会との共同による価値創造を重視しています。


具体的には、地域の大学や産業界と連携しながら以下のようなリカレント教育の取り組みを実施しています。


  • 通信教育講座の受講奨励や資格取得に対する報奨金支給

  • 富山大学が実施するリカレントプログラム「次世代スーパーエンジニア養成コース」に技術部門の社員を継続的に派遣

  • 公益財団法人富山県新世紀産業機構が主催する「若い研究者を育てる会」への参加

  • 大学との共同研究の実施を通じて技術部門の社員を育成


自己研鑽をキーワードとして、社員が能力を伸ばしたいという思いを重視した研修制度を設計し、従業員満足度調査を実施するなどして、社員のモチベーションや生産性の向上につなげています。


【まとめ】変化が激しい時代には学び続ける人だけが生き残れる


リカレント教育とは何か、注目されている理由やリカレント教育プログラムを提供する大学一覧などを解説しました。


従来、終身雇用や年功序列が伝統的だった日本の企業では、社会人のリカレント教育やリスキリングの意識は高くありませんでした。しかし、グローバルな競争と変化が激化するなかで、国も企業も社会人の学び直しやリカレント教育を重視する方向に変わってきています。


急速なデジタル技術の進化やグローバル化が進む世界では、社会人になっても、役職がついても

学び続けスキルや知識をアップデートできる人しか生き残れないのです。むしろ、リーダーやマネジメント層の役割はさらに複雑化しており、学び直しの必要性が増しているといえるでしょう。


オーセンティックリーダーズ・アカデミアは、「変動性、不確実性、複雑性、曖昧性」にあふれるVUCAの時代において、リーダーのために必要な経営学を横断的に学べるスクールです。


経営戦略やマーケティングなどの知識にくわえ、キャリアやストレスマネジメントなどマインド面の経験学習を取り入れており、業種業界の枠を超えて社会的価値共創を学べる「未来志向型の自己成長」プラットフォームとなっています。


オーセンティックリーダーズ・アカデミアは随時無料で資料請求や説明会申込が可能ですので、興味がある方はぜひお問い合わせください。



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