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1on1にこだわらない:部下と対話をするには?

更新日:2023年10月16日


1on1にこだわならい:部下と対話をするには

マネジメント経験者であれば誰でも、社内TOP1%の行動力を誰もが発揮してくれればどれだけ成果が上がるか、と現実逃避をすることもあるでしょう。


行動への源泉として「モチベーション」が語られることは多いです。


「ウチはモチベーション高い」

「モチベーションを持たせられないからエンゲージメントが上がらない」

「モチベーションがあれば行動量が上がるはず」


しかし、モチベーションアップと行動量のアップは万人に向けて相関があると言えるのでしょうか?


仮に答えがYESなら、なぜいまだ多くの組織において、モチベーションや自発的な行動力についての課題がつきまとっているのでしょうか?


この課題が解消できないのは「モチベーションは自発的な行動とは関係ないからでは?」と私は考えています。


この記事では、「モチベーション不要の行動量アップ」について示していきます。


いささか持論や抽象度の高い部分がありますが、モチベーションという言葉に振り回されて日々過ごしている方には少し違う視点でのご提案として受け止めていただければ幸いです。


 

【 目 次 】

 

なぜモチベーションが大事だと言われるのか



モチベーションとは「動機」のことです。様々な定義や解釈が存在していますが、削ぎ落とせば「行動のための動機」と言えるでしょう。


では、職場における「モチベーション」とは何でしょうか? 

これは仕事へのやる気とよく称されます。


「指示されたことを熱意をもって素早く完了させる」

「利益創出のために行動し積極的に成果をあげる。業務の簡略化を行う」

「組織に貢献できる目標を自ら掲げ、達成のために日々行動を繰り返す」


成果を出すだけでなく「熱意」「積極的」「自ら」といった感情と紐づく表現が一緒に添えられることが多いです。行動量とやる気は、しばしば関係あるように表現されます。


でも、やる気があって優秀な人が、ずっとそのままの勢いで働いているわけではありません。ときにメンタルを病んでしまったり、ときに上司と反りが合わず転職を繰り返したり、やる気があっても必ずしも成果を出し続けられるわけではないのです。


オリバー・バークマンは、著書の中で、以下のように述べています。

どんなに充実した仕事をしていても、どうしてもやる気が起きない日はあります。(中略)「やる気を出させよう」とすると、かえって事態を悪化させることがあるからです。本当の問題は、あなたが行動を起こす気が起きないことではありません。むしろ、「行動する前に、行動する気になる必要がある」という前提が根底にあるのです。つまり、ほとんどの「やる気を起こさせる」アドバイスの隠れた落とし穴は、物事を成し遂げる方法ではなく、物事を成し遂げるための気分を味わう方法についてなのです。

私たちがモチベーションを持とうとするときの大きな間違いは、「行動する気になるのがまずは必要だ」と思い込んでしまうことだと言っています。


「動機を持った時の気分になること」にフォーカスしてしまっているということです。



「やる気を出さなければ」と思うことで上がるハードル



ハーバード大学の心理学者ダニエル・ウェグナーらの研究が繰り返し明らかにしていますが、意志の力で感情をコントロールしようとすると自己破壊に終わってしまうことがあるそうです。


リバウンド効果というもので、「やる気をもたないといけない」「やる気を持って行動をたくさんしなければならない」と思えば思うほど、逆を行ってしまうという状況に陥ります。つまり「先送り」です。


「やる気を出さなければならない」と思い込み、本来の目的を失うことで、現状とありたい姿の間に新たなハードルができてしまうのです。



やる気が出るのを待つ必要はない


ここでお伝えしたいポイントは、「やる気が出ない自分を心配する必要はない」ということ。


心理学作家のジュリー・ファストは、仕事にかかわるネガティブな感情を感じた時、その気持ちを押し殺そうとするより、以下のように感じ、行動することを勧めています。

  • 数秒間呼吸に集中し、ただその気持ちを味わう

  • 感情に沿って行動を起こす(考え混むのではなく行動に移す)

  • ネガティブ感情が消える


森田療法という不安障害に対応する行動療法では以下のように言われています。

先延ばしや怠け者をやめようとするのは時間の無駄であり、大切なのは行動である。

「自分がやる気を出すことに執着するな」という意味だと私は理解しています。



行動力を上げるにはメモを使え



行動力を上げるには、気持ちが乗ってくるのを待つことをやめる。その代わり、紙とペンを用意します。


紙には今やるべきことと今の気持ちを分けて書きます。これによって行動と気持ちを別にして、今やるべきことを視覚化します。あとは一つずつやっていきましょう。


1日の終わりにもメモが使えます。今日起きたもやもやを紙に書き出し、自分のコントロールできることとできないことを分けます。あとはコントロールできることをやっていくだけです。



まとめ


行動力を上げるならモチベーションに頼るのはやめましょう。それよりはたった1つの行動を無理やりにでも起こしてみること。


そうすることで、落ちたハンカチの一部をつまんで持ち上げた時のようにほかの課題や問題が合わせて解決してくるはずです。


やる気を上げるために自己啓発本を読み漁り、気持ちを高める事にフォーカスするのではなく、行動そのものにフォーカスしてみましょう。


やる気を出そう、モチベーションを上げようと思う前に、ちょっとした習慣や行動を促す仕組みづくりで自分自身の行動力を高める工夫をすることをお勧めします。


この記事を書いた人 加井 夕子(かい ゆうこ) アイデンティティー・パートナーズ株式会社、 わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所)

専任講師/コーチ


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